名スポットは迂回した先に。

【忘れられないふるさとの味#23】田舎家のわっぱ飯(新潟県新潟市 / JR新潟駅)

郷土料理やご当地グルメには、土地に根ざした物語と“ふるさとの味”が詰まっています。

忘れられないふるさとの味」シリーズでは、各地の発祥店や地元の名店を訪ね、懐かしさと旅情に包まれる料理を紹介します。

田舎家のわっぱ飯

江戸時代から北前船の寄港地として栄えた新潟市は、米や日本酒、新鮮な海鮮など日本屈指の「食の都」と言える。食以外にも個性あふれるお店が立ち並ぶ古町エリアや水族館、鉄道資料館などの観光スポットが多いのも魅力的。短い滞在で見尽くすのは難しいため、新潟旅行の日程には余裕を持っておきたいところ。

わっぱ飯

海の幸山の幸を味わう「わっぱ飯」 Photo by よだ なお

わっぱ飯」は、昭和27年頃に「田舎家」の初代店主が考案した新潟の名物料理だ。曲げわっぱに出汁で炊き上げられたご飯を詰め、鮭などの具材を乗せて蒸しあげて仕上げる。出来立てを湯気ごと頬張ると食材の香りごと楽しめるし、少し冷めて米の味をじっくりと噛み締めるのも味わい深い。上に載せる具材は様々で、他のメニューも食べたくなるのは避けられない運命。食べるならそれを覚悟の上で。

田舎家 古町本店

古くからの繁華街の一角にある老舗 Photo by よだ なお

新潟の古くからの繁華街・古町エリアへ。江戸時代に物流の拠点だったこのエリアには今も個性豊かなお店が多い。その一角にある「田舎家」を訪れると、白い暖簾が涼しげにゆらめいていた。この店こそ、新潟名物「わっぱ飯」の発祥地だ。

一人旅ならぜひ座りたいカウンター席 Photo by よだ なお

暖簾をくぐると店内は意外に奥行きがある。先に入った2人組は奥へと通されたが、1人のわたしが狙うは趣あるカウンター。運よく案内されて、脳内でガッツポーズをとる。

新潟の郷土料理が集まる「新潟郷土わっぱ膳」 Photo by よだ なお

「新潟郷土わっぱ膳」は、新潟名物の栃尾揚げや、タレカツなどが乗った旅人にはありがたいセット。とはいえメインは「わっぱ飯」だ。考案した先代店主は北大路魯山人の助言を受けたというから期待も高まる。

贅沢なひとくち Photo by よだ なお

曲げわっぱからホクホクと湯気が立ちのぼり、米一粒一粒が輝いている。胸を躍らせつつ湯気ごと頬張ると、昆布出汁の旨みと青海苔の香りが重なり、米の甘みが口の中にじわりと広がっていった。さらに塩鮭と三つ葉を添えれば、その一口は極上。味付けが薄めなのは、そもそも濃くする必要がないからだろう。素材本来の味を活かすのは、さすが「食の新潟」だ。

夢中で食べ進め、すでにわっぱの中には隙間に入り込んだ数粒のお米が残るばかり。あえて文句を言うとすれば、割り箸ではこの数粒をどうにもできないということだけだろう。全くもって悲劇である。

施設詳細

店名 わっぱ飯 田舎家 古町本店
住所 新潟県新潟市中央区古町通9番町1457
アクセス JR新潟駅からバス乗車「古町」下車徒歩5分
営業時間 昼:11:30~14:00
夜:17:00~21:00(Lo 20:30)
火曜定休
駐車場 提携駐車場あり
備考 公式WEBサイト
新潟駅近くに支店(わっぱ飯田舎家 駅南店)あり

案内人

よだ なお

郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。

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