名スポットは迂回した先に。

【忘れられないふるさとの味#22】元祖ぎょうざ苑の味噌だれ餃子(兵庫県神戸市 / 元町駅)

郷土料理やご当地グルメには、土地に根ざした物語と“ふるさとの味”が詰まっています。

忘れられないふるさとの味」シリーズでは、各地の発祥店や地元の名店を訪ね、懐かしさと旅情に包まれる料理を紹介します。

元祖 ぎょうざ苑の味噌だれ餃子

震災の痛みを抱えながら、それでも前を向いて見事な復興を遂げた神戸。洗練されたおしゃれなショッピングスポットや雑多で活気あふれる南京町、レトロな洋館などの異なる個性が街の中で共存し、知れば知るほど奥深い。かっちり予定を決めず、思いつきで迂回しながら周りたくなる街だ。

味噌だれ餃子

神戸名物「味噌だれ餃子」 Photo by よだ なお

神戸の餃子は、味噌をベースに醤油や酢などを合わせた「味噌だれ」につけて食べるスタイルが定番だ。サクッと焼き上がった餃子にトロリと濃厚なタレが絡み、一度食べたら癖になる美味しさ。味噌だれはスーパーでも売っているほか、中華料理店などでオリジナルのタレも買うことができる。地元の人はそれぞれに「推し味噌だれ」があるとかないとか。

元祖 ぎょうざ苑

日本三大中華街に名を連ねる南京町 Photo by よだ なお

その一角は、鮮やかな赤と黄色に溢れていた。日本三大中華街の一つ「南京町」の週末は、むせ返るような活気にあふれ、歩くだけでエネルギーが湧き立ってくる。

開店前から行列ができる人気店 Photo by よだ なお

元祖 ぎょうざ苑」は週末ということもあるのか、開店30分前にも関わらず、人が並び始めている。初代が中国の料理人から餃子の作り方を学び、その後、焼き餃子を味噌だれで食べるスタイルを考案。そのおいしさを伝え続けて75年経つが、人気は衰えることがない。味噌だれのレシピは一子相伝、門外不出。今それを知るのは店を守る3代目ただ一人だという。

アットホームな雰囲気の店内 Photo by よだ なお

注文はひとまず名物の焼き餃子と、本場中国では焼きよりスタンダードな水餃子。昼間だけど、せっかくだからビールも注文してしまおう。ここで飲まねば、後悔する気がする。

味噌だれ餃子とビールは間違いのない組み合わせ Photo by よだ なお

この店のこだわりは味噌だれに留まらない。一般的な餃子は豚ひき肉のみを使うが、この店では豚ひき肉に上質な神戸牛をミックスしている。牛肉由来の濃厚なコクを感じさせるので、ニンニク不使用でもパワフルな味わい。それを豪快に味噌だれにダイブさせて食べる。

特製の味噌だれをたっぷりつけて Photo by よだ なお

味噌だれに、卓上の醤油と酢をひと回しずつブレンドする。味噌だれのみでは猪突猛進な塩気だが、そこに加わる醤油の奥行きと酢の爽快感。調味料を足しているのにむしろマイルドになり、それでいて味覚のいろんなところを刺激する。餃子そのものは肉の旨みを生かしたストレートな美味しさだからこそ、味噌だれとの相性は抜群!「餃子は酢醤油しかない」という思い込みはもう粉々だ。

追加注文分も既に最後の一切れ。想像以上の美味しさで、味噌だれ餃子にも、ビールにも酔っ払ってしまった。すっかり上機嫌だから「味噌だれ餃子にお”味噌”れしました」なんて寒すぎるギャグも、今だけは大目に見てもらいたい。

施設詳細

店名 元祖 ぎょうざ苑
住所 兵庫県神戸市中央区栄町通2丁目8-11
アクセス JR元町駅より徒歩5分
阪神元町駅より徒歩5分
営業時間 昼:11:45~15:00(L.o)
夜:17:00〜20:30(L.o)
月曜定休(祝日の場合は営業、翌日に振替休日)
駐車場 なし
備考 公式WEBサイト
平日の夜のみ予約可能

案内人

よだ なお

郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。

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