名スポットは迂回した先に。

【おはよう純喫茶#25】ぼうたん(鹿児島県鹿児島市/ JR鹿児島中央駅)

レトロな空間、ノスタルジックな喫茶体験ができる純喫茶を紹介する「おはよう純喫茶」。

タバコが吸えるお店や、モーニングセットの情報なども掲載。

本記事を読みながら趣のある朝を想像し、近くを通る際にはそんな趣のある朝を再現してみてはいかが?

 

ぼうたん

夏日の鹿児島中央駅前は、南国の香りがした。全国的に暑い時期ではあるけど、鹿児島の熱気は何かが違う。「ずいぶん南へ来たんだな」と思う。当たり前だけど、地図で見るより実際はずっと遠いのだ。

新幹線の停車駅に近く、朝から開いているこの店は旅の始まりにぴったり photo by よだ なお

額に滲み出る汗を感じつつ歩くこと数分、お目当ての「ぼうたん」に辿り着く。店の前の赤いベンチに乗っている「たばこ」の看板がレトロだ。経験上、古いものを大事にしている店にハズレはない。期待が高まる。

整えられた食器類が大切に使われてきたことを物語る photo by よだ なお

ジャズが流れる店内は、暗めでしっとりと落ち着いた空間だった。外の焼け付く熱気が嘘のようにゆったりとした空気が流れている。とはいえ1年中ホット派のわたしでも、さすがにアイスコーヒーをお願いする。

夏日の鹿児島は、朝でもアイスコーヒー photo by よだ なお

Tシャツにコーヒー色のエプロンをしたマスターは口数こそ少ないが、誠実で穏やかな雰囲気だ。マスターはカウンターに戻るとすぐにアイスピックでカッカッと氷を割り始める。汗ばんでいたのに気づいたのか、何より先にアイスコーヒーを準備する心遣いが嬉しい。クッとくるアイスコーヒーの苦味と深い香りが暑さを吹き飛ばす。すっきりした味わいだけど、でもどこか穏やかで優しい味だ。

ホットドッグはロールパンにて photo by よだ なお

ホットドッグはロールパンを使っているのが珍しい。個性的だが、これが実に食べやすい。よくある細長いパンだと大抵ソーセージがずり落ちるが、このサイズならたっぷり入った千切りキャベツも全くこぼれない。これはいい!

鹿児島名物「かるかん」を出してくれるマスターの温かさ photo by よだ なお

しばらくすると「これ、どうぞ。」と白いふわふわしたものを置いていく。「あ、これもしかして…!」と言ったのに「鹿児島のかるかんです。」とマスターが微笑む。旅の始まりからさっそく鹿児島らしさに触れて、テンションは急上昇。もちもちしていて甘いかるかんはこの店のコーヒーとも相性が良かった。

「忘れ物ないように。外暑いから気をつけて。ありがとうございました。」静かなマスターが帰り際に急に饒舌になる。本当は無口じゃなくて初対面だと少しシャイなだけかもしれない。朴訥としていて人情があって少し照れ屋…なんだか西郷隆盛みたいなマスターだな。今度鹿児島に来っ時ゃ、ここん店にまた来もんそ!

施設詳細

喫茶名 ぼうたん
住所 鹿児島県鹿児島市中央町21-18
アクセス JR鹿児島中央駅下車 徒歩4分
営業時間 9:30~19:00
駐車場 なし
備考

 

案内人

よだ なお

「郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。

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