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郷土料理やご当地グルメには、土地に根ざした物語と“ふるさとの味”が詰まっています。
「忘れられないふるさとの味」シリーズでは、各地の発祥店や地元の名店を訪ね、懐かしさと旅情に包まれる料理を紹介します。
ここは江戸屈指の繁華街、深川。江戸時代の始まりとともに開拓され、江戸の繁栄とともに成長してきた街だ。時は流れて建物は現代風になり、道はコンクリート敷へと変わった。昔よりはずいぶん静かな雰囲気だが、それでもまだこの街には隠しきれない「江戸の匂い」が漂っている。そんな街の一角、深川めし専門店「深川宿」はある。店先には江戸紫色ののれんが揺れていて、色褪せてもまだまだ現役で活躍中だ。
住宅街の一角にある深川宿 Photo by よだ なお
最大16席の小さな店内。雰囲気のある囲炉裏テーブル席は瞬く間に相席のお客さんでいっぱいになった。客たちの注文は皆同じで、「辰巳好み」と名のついた深川めしの2種セット。この店一押しのメニューだ。
囲炉裏席は一期一会の相席で Photo by よだ なお
東京の郷土料理「深川めし」は2種類ある。アサリ入りの味噌汁をご飯にぶっかけたのが元祖だ。江戸時代の漁師メシが始まりとされている。それに対し、大工のお弁当用として明治時代に誕生したのがアサリの炊き込み飯。こちらは家庭料理としても親しまれてきた。
昔ながらのぶっかけスタイルの深川めし Photo by よだ なお
まずはぶっかけからいただく。熱いうちにかき混ぜて、湯気にハフハフしながら豪快に一口。米一粒一粒に味噌が染みて、やわやわとろとろとした食感の中にアサリがキュキュッとした歯応えを加えている。長ネギもいい仕事ぶりだ。シャキシャキと小気味良い音と特有の香味が後をひく。
家庭でも親しまれた炊き込みスタイルの深川めし Photo by よだ なお
合間合間に炊き込みご飯にも箸を伸ばそう。濃厚な味噌味のぶっかけとは真逆のあっさり塩味をしている。ごはんは粒感がしっかりと感じられ、噛み締めると潮の香りがした。炊き込まれたアサリはギュッと身が締まり、ずいぶん縮んで見える。しかしあまりに小さいその一粒からは、なおもまだ無限の風味が染み出していた。一口ごとに、ビルがひしめく東京のイメージが、カモメが歌う江戸の海へと塗り替えられていく。
2種の深川飯。見た目は小ぶりに感じたが、食べ応えは抜群。江戸に受け継がれた心意気をお腹いっぱい取り入れて、気分は粋でいなせな江戸っ子だ。また深川めしを食べたいかって?あたぼうよ!
施設詳細
店名 | 深川宿 本店 |
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住所 | 東京都江東区三好1丁目6-7 |
アクセス | 清澄白河駅下車 徒歩4分 |
営業時間 | 11:30~15:00、17:00~21:00 (土日は11:30〜17:00) ラストオーダーは30分前/月曜定休 |
駐車場 | なし |
備考 | 公式HP 富岡八幡店(富岡八幡宮境内)もあり |
よだ なお
「郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。
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