名スポットは迂回した先に。

【おはよう純喫茶#16】カフェーパウリスタ(東京都中央区/ 新橋駅・銀座駅)

レトロな空間、ノスタルジックな喫茶体験ができる純喫茶を紹介する「おはよう純喫茶」。

タバコが吸えるお店や、モーニングセットの情報なども掲載。

本記事を読みながら趣のある朝を想像し、近くを通る際にはそんな趣のある朝を再現してみてはいかが?

 

カフェーパウリスタ

銀座の街をキョロキョロとしながら歩く。両側を高いビルに囲まれた都会の真ん中はやっぱり不慣れで、だからこそ店の入口にある小さな植栽に、いつも以上にホッとさせられる。珍しく「カフェーパウリスタ」のドアが開いている。日本最古の喫茶店は、今日はなんだかいつもよりウェルカムな雰囲気だ。

喫茶店好きなら一度は行きたい、日本最古の喫茶店 photo by よだ なお

「1階の空調が壊れておりまして……」と、額に汗を浮かべながら申し訳なさそうに頭を下げる店員さん。なるほど、ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻も訪れたという伝説の空間に、客が一人もいない奇跡の理由がわかった。この空間を味わえないのは少々残念だが、案内された2階席の洗練された雰囲気もまたいい。

数々の著名人が訪れたことでも知られる店 photo by よだ なお

注文してすぐに届いたリンゴジュースのすぐ後に、この店名物の「森のコーヒー」がやってきた。化学肥料も農薬も不使用で、この店のスペシャルティとも言えるだろう。独特の酸味と野性味のある飲み口だが、時間が経つと驚くほど調和の取れたまろやかさに変わっていく。そんな変化を面白がっていると、「おかわりいかがですか」と声がかかる。ナイスタイミングとは、まさにこういうことだ。

コーヒーとリンゴジュースのドリンク二枚看板 photo by よだ なお

モーニングセット8種から今回選んだのはキッシュ。キッシュはさらに3種から選べるが、ここは王道のロレーヌに。サクッとした生地の中に、濃厚なチーズとクリーミーなソース。切り分けるとツーッと心地よく伸びる様子が気持ちいい。口に入れた瞬間、パウリスタの贅沢な朝に酔いそうになった。それを覚ますのは、コーヒーの苦味か、リンゴジュースの甘さか…。

名物のキッシュモーニング photo by よだ なお

格式あるロゴに、どこかレトロな丸みのあるカタカナの店名。そのアンバランスさが妙に心くすぐる。この味のある紙ナプキンで口をぬぐった瞬間、なんだかひとつの朝をやり遂げたような、小さな達成感に包まれた。

お店の紋章つきの紙ナプキン photo by よだ なお

モーニングはあと7種類。東京へ来る楽しみはまだまだ残っているようだ。

施設詳細

喫茶名 カフェーパウリスタ
住所 東京都中央区銀座8丁目9-16 長崎センタービル 1F・2F
アクセス 新橋駅下車 徒歩約7分
銀座駅下車 徒歩約7分
営業時間 1階
[月~金]9:00~20:00
[土]9:00~19:30
[日・祝]11:30~19:00
2階
[月~金]12:00~18:30
[土]12:00~18:30
[日・祝]12:00~19:00
(フードL.O.1時間前、ドリンクL.O.30分前)
モーニングは11:30まで
年中無休(年末年始を除く)
駐車場 なし
備考 公式HP
公式Instagram

 

案内人

よだ なお

郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。

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