名スポットは迂回した先に。

【おはよう純喫茶#15】珈琲美学アベ(長野県松本市/ JR松本駅)

レトロな空間、ノスタルジックな喫茶体験ができる純喫茶を紹介する「おはよう純喫茶」。

タバコが吸えるお店や、モーニングセットの情報なども掲載。

本記事を読みながら趣のある朝を想像し、近くを通る際にはそんな趣のある朝を再現してみてはいかが?

 

珈琲美学アベ

松本駅前、朝7時少し前。シャッターの閉まった店先を掃除する人、ゴミ収集車のエンジン音。この街は静かに目覚めようとしている。そこに猛暑の最中とは思えない涼しい山風が吹き抜けていく。

異国の街角のような外観 photo by よだ なお

駅前の大通りを進んですぐ、唐突に中世の街角みたいな店が現れる。黄色いランプが灯るその店は「珈琲美学 アベ」。凍てつく冬の朝なら、この灯りが訪れる者の心をほっと照らすのだろう。

細部までこだわった内装 photo by よだ なお

扉を開けると、耳に入ってきたのは優雅なクラシック。しかもバッハやハイドンとか、そういう古い時代の曲だ。ここは外国だったっけ?こだわり抜いた調度品に囲まれて、場所どころか今が西暦何年かも自信がない。

ポップな色合いなのに雰囲気のあるランプシェード photo by よだ なお

それでも不思議と居心地がいい。客を王族の1人にでもしてしまうような”何か”があって、敷居の高さを感じない。しまいには「よきにはからえ」とでも言いたくなる。

完全カスタマイズで自分だけのモーニングセット photo by よだ なお

その理由の一つは完全カスタマイズのモーニングかもしれない。トーストはバターかシナモンか、それともフォカッチャ?サラダ、卵料理、ジャムやシロップはどうする?そこに添えるはハムか、いやベーコンか。組み合わせはまさに「お気に召すまま」。

珈琲美学に酔いしれる1杯 photo by よだ なお

漆黒の珈琲は香りが高くて軽い酸味とほのかな苦味。いつもよりしなやかな手つきでカップを持って、一口をいつも以上に堪能するのが心地いい。じっくりじっくり飲み進めていって、口当たりが時間と共に変化するその余韻を楽しむ。

店から客への粋なメッセージ photo by よだ なお

ふと、ソーサーに目がとまる。「水ばかり飲んでコーヒーも飲まないなんて、人生に生きがいがあるだろうか」少しギクリとする。確かにそうだ。珈琲は素晴らしい。

この店の珈琲は爽やかな松本の朝を叩き起こすような、単なる「眠気覚まし」ではない。1日の始まりを彩る一杯を提供する、それがこの店の「珈琲美学」なのかもしれない。

施設詳細

喫茶名 珈琲美学アベ
住所 長野県松本市深志1丁目2-8 NOVAビル 1F
アクセス JR松本駅下車 徒歩約3分
営業時間 7:00~17:30(Lo16:30)
火曜日定休
駐車場 なし
備考 公式HP
公式Instagram

 

案内人

よだ なお

郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。

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