名スポットは迂回した先に。

【忘れられないふるさとの味#18】つりがね庵の白石温麺(宮城県白石市 / JR 白石駅)

郷土料理やご当地グルメには、土地に根ざした物語と“ふるさとの味”が詰まっています。

忘れられないふるさとの味」シリーズでは、各地の発祥店や地元の名店を訪ね、懐かしさと旅情に包まれる料理を紹介します。

つりがね庵の白石温麺

福島駅から仙台方面へJR東北本線に揺られて30分ほどで、もう宮城県内に入る。宮城県最初駅である白石駅は、奥州街道沿いに栄えた城下町で、今も当時の水路や商家の蔵が残り、こけし作りの伝統も受け継がれている。

白石温麺(しろいしうーめん)

親子愛から生まれた「白石温麺」 Photo by よだ なお

白石温麺(しろいしうーめん)は9cmほどで、そうめんに似ている。江戸時代、胃の病に苦しむ父のために、油不使用で消化しやすく食べやすい短い麺を作ったのが始まり。その話を聞いた白石城主が「温麺」と名付けたのがいつしか「うーめん」となまったとも、「美味い麺」が「うーめん」になったとも言われている。「温麺」と書くが、温冷どちらも美味しい。

つりがね庵

茅葺き屋根の古民家「つりがね庵」へはアートな通路を通って Photo by よだ なお

今回伺ったのは15代に渡って白石温麺を作り続ける吉見(きちみ)製麺が営む「つりがね庵」。古民家を改装した店内で、自社工場で作った麺を食べられるのが魅力だ。

縁側の名残が残る窓際席 Photo by よだ なお

冷たいものから温かいもの、季節限定までメニュー数は多彩。店員さんのアドバイスを受け、スタンダードな食べ方だという冷たい麺を3種のタレで食べるメニューに決めて待つことに。

まずはタレにつけずにそのまま一口。弾力と小麦の甘みが感じられる。 Photo by よだ なお

しっとりと水分を含んで艶々と煌めく白石温麺。うどんの感覚で持ち上げるとかなり短く、すすり上げなくても口の中にするりと入る。喉越しがいいのに、コシもしっかり。


左から黒胡麻、くるみ、麺つゆの3種だれはどれも絶品 Photo by よだ なお

いざ、3種のタレでの食べ比べ。
まずは王道の「めんつゆ」。出汁の旨みが効いた安心感のある味だ。ネギや生姜の薬味を加えつつ、味変も楽しい。「黒ごまだれ」は芳醇な風味が魅力。黒ごま独自のもったりした油分とこっくりした甘みで温麺がまるでスイーツに。そして最後は「くるみだれ」。塩気が効かせてあり、甘じょっぱさが麺によく合う。くるみの香ばしさとコクがいいアクセント。

親子愛から生まれた優しい麺に、お腹も心も満たされた。白石温麺は短い麺だけど、記憶には長く残るに違いない。

施設詳細

店名 つりがね庵
住所 宮城県白石市本町46
アクセス JR 白石駅より徒歩8分
営業時間 平日  11:00~14:30(Lo14:15)
土日祝 11:00~15:00(Lo14:30)
第2第3火曜・木曜定休
駐車場 あり
備考 公式HP

案内人

よだ なお

郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。

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