名スポットは迂回した先に。

【醤油屋MAP】土地の歴史と自然を“味わう”ことのできる場所

普段、調味料として何気なく使っている醤油だが、細かい部分に焦点をあてると実はかなり奥が深い。

本記事では、料理が趣味だというさんすけさんが旅先で出会った、こだわりの醤油とおすすめの醤油蔵スポットを紹介してもらった。

さんすけさんが調理したブリの照り焼きとカオマンガイ

香りに誘われてたどり着いた歴史ある醤油蔵を見て楽しみ、実際に醤油を味見することでその土地の歴史と自然を「味わう」のだという。自身の体験を元にした各スポットの魅力を、味わい深い旅の楽しみ方とともにお送りする。

 

前談

本記事をよりお楽しみいただくための予備知識として、まず醤油についてを知っておいていただきたい。醤油は、大豆と小麦の配分や、他のものを混ぜているかによって6つに分けられる。

  • 白醤油:素材を活かす、淡い琥珀色の醤油。だし巻き卵や炊き込みご飯などによく使う。
  • 淡口醤油:西日本で多くみられる淡い色の醤油。煮物などに使う。
  • 甘口醤油:九州や北陸で一般的に使われる醤油。アミノ酸液や甘味料などを加えたものも。卵かけご飯や刺身に使う。
  • 濃口醤油:最も一般的な醤油。万能であり、かけ醤油の料理全般に使う。
  • 再仕込み醤油:熟成期間が長く濃厚な味わいの醤油。赤身の刺身やフライのソース代わりに使う。
  • 溜醤油:うま味たっぷりの、色が濃くとろみのある醤油。赤身の刺身や照り焼きなどに使う。

それでは、各醤油蔵でつくられる醤油の特徴とともにみていこう。

 

目次

 

醤油屋の紹介

マルキン醤油記念館Googleマップで見る


ひとつ目に紹介する醤油屋は、穏やかな瀬戸内海に浮かぶ「醤の郷」、香川県小豆島にあるマルキン醤油記念館

醤油工場を改装した建物であり、醤油の製造方法や、400年の小豆島しょうゆの歴史を継承する記念館であり、その歴史と醤油づくりの工程を感じることができる。

また、しょうゆソフトクリームを販売する物産館も併設している。さんすけさんが醤油にハマったきっかけの場所でもある。

マルキン醤油記念館の外観

1km手前から醤油の香りに誘われ、たどり着くと工場のような大きな施設と、国の登録有形文化財に指定された合掌造りの建物、そしてかわいい樽がお迎えしてくれる。

マルキン醤油記念館の内観

昔ながらの木造の大きな醤油蔵は、大きな樽を上から攪拌(かくはん)するための中二階があるなど空間的にも面白い。

もろみ絞り体験では、火入れ前の生醤油を味わうこともできる。

もろみ・・・大豆や小麦で作った麹を塩水で発酵・熟成したもの。醤油になる前段階の状態で粒々が残っており、全体的にとろっとしている

マルキン醤油さんの醤油の中でも、さんすけさんのお気にりは濃口醤油の「醤の郷(ひしおのさと)小豆島 丸大豆生しょうゆ」。いわゆる「醤油の味」ではなく、醤油の「うまみ」がわかるのだという。

小豆島の大自然の中で、400年の伝統を味わえるスポットだ。

醤油を送るパイプが道をまたいでつながる

小豆島の大自然に囲まれた土地は有名な原風景だ。

 

 

山口醤油醸造場Googleマップで見る


佐賀県鹿島市の酒蔵通りに位置する山口醤油醸造場。

自然に囲まれた中、ここだけ漆喰と瓦屋根で作られた、区画整備がされていない情緒ある街道だ。

山口醤油醸造場の外観

醤油蔵はおいしい水のところにある。大豆と小麦、そして水が原材料の醤油ならではの特徴であり、その土地を流れる水を醤油にして楽しむことで、その土地の自然を味わうことができるのだ。

その特徴から酒蔵が近くにあることも多く、ここも例外ではない。さんすけさんは日本酒の酒蔵とセットで巡ることで地元の自然を”味わう”旅を楽しんでいる。

中でも「はまいきいき醤油」がお気に入り。シンプルな濃口醤油で、現地の道の駅で買ったお刺身に合わせてその場で食べた体験が忘れられないのだとか。

お店のHPはなく、ぜひ足を運んで体験してもらいたい。

酒蔵通りの風景。小川も流れている。

 

 

たまりや 山川醸造Googleマップで見る


岐阜県岐阜市、鵜飼で有名な長良川の近くに位置するたまりや 山川醸造。街道を挟んで醤油蔵と店舗が向かい合うように建っている。

1943年創業の歴史ある醤油屋であり、もとは酒屋を営んでいた創業者が地域の食糧不足解消に貢献するべくして始めたお店だ。

岐阜県で採れた大豆・小麦と長良川の伏流水を杉の木桶で仕込んだ醤油には、まさに土地の味が凝縮されている。近くには金華山・岐阜城もあり、自然に囲まれた場所でその味を堪能することは旅の醍醐味といえよう。

さんすけさんのイチオシは溜醤油の「長良」。一般的な醤油に比べてとろみがあり後味までしっかり残るので、イカの刺身にぴったりだという。

また、さんすけさんが来店した際に店主夫妻に醤油について話を聞いたところ、気さくに色々と教えてくれたようで、ふらっと足を運んで醤油を知りながら楽しむこともできるかもしれない。

 

 

陸前高田 発酵パーク CAMOCYGoogleマップで見る


岩手県にある陸前高田 発酵パーク CAMOCY(カモシー)は、「発酵」をテーマにした複合飲食店。最後に紹介するのは、その一角にある八木澤醤油だ。

CAMOCYは外観からガラス越しに調理場を伺うことができ、中に入ると各店舗の店構えと陸前高田の風景を見ることができる。全面道路から少し高く位置していることでこのような景色が実現しているのだ。

陸前高田 発行パーク CAMOCYの外観

さんすけさんから、八木澤醤油の「奇跡の醤(ひしお)」という濃口醤油について紹介してもらった。

醤油は、その素である「もろみ」がないと同じものを作ることはできない。

陸前高田にあったこの蔵は東北大震災の被害に見舞われ、蔵の命ともいえる「もろみ」が津波で全て流されたと思われた。そんな中で奇跡的に見つかった震災前の「もろみ」を培養し、歴史ある醤油を伝承できたものなのだ。

また、この近くには「奇跡の一本松」という、津波で一本だけ流されずに現存した松の木もあり、3.11から奇跡的に残り伝承させてきた歴史を感じることができる。復興の力強さを感じることのできる特別な場所だ。

奇跡の一本松




 

おわりに

醤油はそれぞれが違う味であり、紹介してきたどの蔵の醤油も、スーパーで売ってるものとは全く違う。そこには足を伸ばさないと出会えない、「大豆・小麦・水と、受け継がれてきた伝統のもろみ」というその土地の味がある。

実際に行って味見し、醤油を通してその土地の歴史・自然を感じるという一風変わった豊かな旅を体験してもらいたいと、さんすけさんは語る。

 

マイマップ作成者

さんすけ

兵庫県出身。建築を専攻していた学生時代に階段の魅力にとり憑かれ、卒業後も建築設計の仕事に携わっている。休日にはカメラを片手に、愛車のロードバイクで各地の建築を巡りつつ、日本酒や醤油など、土着的な魅力を求めて旅をする。

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