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郷土料理やご当地グルメには、土地に根ざした物語と“ふるさとの味”が詰まっています。
「忘れられないふるさとの味」シリーズでは、各地の発祥店や地元の名店を訪ね、懐かしさと旅情に包まれる料理を紹介します。
印象的な黒壁を持つことから「烏城」の異名で呼ばれる「松本城」や、江戸時代の面影を残す街並みが残る松本市。北アルプスや上高地に囲まれたこの街は、美しい山並みも魅力の一つだが、長年愛されているこの郷土料理もまた見逃せない。
発祥店の一つとされる河昌の山賊焼 Photo by よだ なお
「山賊焼」は鶏の一枚肉をニンニク醤油のタレに漬け込み、片栗粉で揚げた豪快な料理。松本市と塩尻市が発祥とされ、由来も諸説あるが、一説には山賊は物を「取り上げる」ことから「鶏を揚げる」料理が誕生したと言われている。
日本全国いろいろなナンバーの車が並ぶ Photo by よだ なお
松本駅から路線バスでおよそ15分。到着した店の前は地元だけでなく他県ナンバーの車で埋め尽くされている。まるで車の展示会だ。「山賊焼」の人気の高さが窺える。
昼間から飲みたくなるような店構え Photo by よだ なお
昼からお酒が飲みたくなるような店構え。駅から離れているので車が便利ではあるが、飲めないとなるとバスとどっちがいいんだか…。
カウンターの傷の多さがこの店の歴史を感じさせる。 Photo by よだ なお
車の数からしてどれだけ待つのだろうと肝を冷やしたものの、15分ほどで厨房に面したカウンター席に通された。厨房からは「ジュワジュワ…」と揚げ油の転がるような音がする。店主の片栗粉をまぶす手つきもリズミカルで、期待が高まるのを止められない。
もも肉か胸肉を選べる山賊焼定食 Photo by よだ なお
何百回、何千回と皿やコップが置かれた傷だらけのカウンター。それだけ多くの客の胃袋を満たしてきた歴戦の舞台に、創業以来の名物メニューで今や長野県を代表するグルメがお出ましだ。山盛りキャベツの上にどんと構える巨大な鶏、いや山賊。箸で持ち上げるとずっしりと手応えがある。
箸で持ち上げるとずっしりと重い Photo by よだ なお
山賊スタイルでガブリッとかぶりつけば、サクッとした音と共にジューシーで甘みのある肉汁が溶け出す。噛むほどにザクザクと心地よい音を立てて、食欲をさらに刺激してくるから困りものだ。ご飯が足らない…。いや、大丈夫だ。まだキャベツがある。
特製のドレッシングがこれまた絶品 Photo by よだ なお
そこへ店員さんが「キャベツにかけてくださいね」と特製ドレッシングをおもむろに置いていく。試しに少しかけたらイタリアン風味炸裂!これは美味しすぎる…。
山賊が「取り上げる」のは鶏だけじゃなかった。米もキャベツも根こそぎさらっていく…その上食べる者の心まで。やはり山賊、容赦がないらしい。
施設詳細
店名 | 山賊焼 河昌(かわしょう) |
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住所 | 長野県松本市浅間温泉1丁目17-32 |
アクセス | 松本駅よりバス15分 浅間温泉入口下車徒歩3分 |
営業時間 | 11:30~13:30 火曜定休 |
駐車場 | あり(10台) |
備考 | 予約不可 |
よだ なお
「郷土料理(ふるさとごはん)コーディネーター」として、いつものごはんやおやつに日本各地の郷土料理を作って暮らしています。旅という名の、郷土料理&ご当地グルメ調査に出かけるのがライフワーク。調査と試作を経た郷土料理のレシピを、エッセイとともにInstagramで発信中です。本を出すのが夢。
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