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【建築MAP】日本近代建築の父、アントニン・レーモンドの建築一覧

アントニン・レーモンド

アントニン・レーモンド(Antonin Raymond)は、チェコ出身の建築家。1919年、旧帝国ホテルの建設に際してフランク・ロイド・ライトと共に来日し、日本のモダニズム建築の先駆者として多くの作品を手掛けた。木材や自然素材を活かしたデザインが特徴であり、日本の建築に大きな影響を与えた。

A・レーモンドの住宅物語 (建築ライブラリー 7)

アントニン・レーモンドの記事一覧


アントニン・レーモンドの建築

旧イタリア大使館別荘

栃木県日光市、中禅寺湖畔に位置するアントニン・レーモンド設計の旧イタリア大使館別荘

アプローチ photo by Saito Kimura

緑に囲まれた森の小径を歩いて行くと杉皮張りの外壁が特徴的な建物が見えてくる。

リビングダイニング photo by Saito Kimura

室内にいたっても、趣向を凝らした杉皮張りが用いられており、レーモンドの素材へのこだわりが感じられる。
当時ではまだ珍しいリビングとダイニングがひとつづきの一体的な間取りである。


広縁 photo by Saito Kimura
一見すると洋風のようだが、欄間や縁側など和洋折衷の造りになっている。
中禅寺湖に面した全面開口部を持つ広縁は、いつまでもそこに座って景色を眺めたくなるような空間だ。

広縁から望む中禅寺湖 photo by Saito Kimura

室内からの眺めはどこを切り取っても絵になるように窓や開口部が配置され、周りの自然や風景を巧みに設計に取り込んでいる。

外観 photo by Saito Kimura

市松模様の外壁がなんとも美しいリズムを生み出している。
レーモンドの木造モダニズムに対するひとつの表現がここに現れている。

文・写真:Saito Kimura

施設詳細

建築名旧イタリア大使館夏季別荘
設計者アントニン・レーモンド
住所栃木県日光市中宮祠2482-2482
竣工年1928年
利用時間4月 9:00-16:00
5月-11月10日 9:00-17:00
11月11日-11月30日 9:00-16:00
見学料300円 (中学生以下150円)
駐車場近隣有料駐車場を利用

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旧井上房一郎邸

群馬県高崎市の文化振興に貢献した井上房一郎の自邸。

天井高のあるリビング photo by Saito Kimura

井上邸はかつて麻布に存在したレーモンドの自邸の一部をコピーした作りとなっている。
それだけに「レーモンド・スタイル」を今現在に伝える貴重な住宅作品だ。

光の降り注ぐパティオ photo by Saito Kimura

いちばんの特徴はこのパティオ(建物に囲まれた屋外空間のこと)
オリジナルのレーモンド自邸ではレーモンド夫妻がここでくつろぐ写真が残っている。
井上邸においても柔らかな光の落ちる心地のいい空間だ。

井上邸オリジナルの和室 photo by Saito Kimura

レーモンド作品のひとつの特徴とも言える「鋏状トラス(シザーストラス)」の小屋組みや、窓や扉などを自由に開放するために柱芯を外した「芯外し」の手法はそのままに、日本人である井上夫妻のために下足を脱いだスタイルになっていたり、井上夫人のための和室が作られていたりと見どころの多い作品である。

正面よりパティオ photo by Saito Kimura

部屋から見える和風の庭は、この季節新緑に囲まれて、たいへん美しいことだろう。
ぜひこのGWに見学に行ってはいかがだろうか。

文・写真:Saito Kimura

施設詳細

建築名旧井上房一郎邸
設計者アントニン・レーモンド
住所群馬県高崎市八島町82-1
竣工年1952年
利用時間10:00-11:00 / 14:00-16:00
見学料高崎市美術館観覧料に含まれる(展覧会により異なる)
駐車場近隣契約駐車場を利用(1時間まで無料)

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