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【建築MAP】自然を生かした建築家・建築史家、藤森照信の建築一覧

藤森 照信

藤森照信は、日本の建築家であり建築史家。自然素材を多用した独自のデザインが特徴で、草屋根や土壁などを活かした建築作品で知られている。また「建築探偵」として古建築の研究や保存活動を通じて日本建築の魅力を広めている。

藤森 照信の記事一覧


藤森照信の建築

空飛ぶ泥舟

外観 photo by たいき〜

茅野市にある3つの「フジモリ茶室」のひとつである「空飛ぶ泥舟」は、茅野出身の建築家、藤森照信氏が設計した空に浮かぶ茶室である。

4本のワイヤーで吊り下げられ、地上約3.5mに浮かんでおり、黄土色の土壁と銅板葺きの屋根、丸みを帯びたフォルムが特徴的。サイズは長さ2.7m、幅1.8m、高さ2m、重さ600kgであり、底部に2本のワイヤーが通されており、両脇の支柱からハンモックのように吊られている。

2010年に茅野市民館主催のワークショップで製作され、2011年に今の場所に移設された。

※個人所有のため、ツアーやイベント等を除いて建物内部への立ち入りは禁止。

外観 photo by たいき〜

文・写真:たいき〜

建築情報

建築名空飛ぶ泥舟
設計者藤森照信
竣工年2011年
住所長野県茅野市宮川389-1
利用時間
HP茅野観光ナビ

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高過庵

外観 photo by たいき〜

長野県茅野市にある3つの「フジモリ茶室」のひとつである、茅野出身の建築家、藤森照信氏が設計した木の上の茶室「高過庵」。

地上6.5mに、2本の栗の木の上に建てられている。現地茅野市の山から伐り出した8mの栗の木を用いており、そのの上に茶室が建てられている。栗の木は虫に強く腐りにくい性質を持っており、木質も硬いため強度や耐水性が高い木材だ。

茶室の躙口(にじりぐち)は地上から6.5mにあり、ははしごを用いてそこまで登る。自らの手ではしごを登り、景色の変化を楽しむという、茶室までのアプローチも魅力的だ。

藤森氏によると、縄文人は寝る時に限り「高さ」を必要としていたという。これは蚊の媒介するマラリアを防ぐためだといい、鳥の巣のような高いところに寝たのだとか。人間が根源的に持っている野生本能としても、地上から離れた心地よい空間なのだ。

子供の頃につくった木の上の秘密基地のようなワクワク感もあり、見た目も少し怖いが面白い、見ておくべき建築だろう。

また、アメリカ「TIME誌」の「世界でもっとも危険な建物トップ10」にも選ばれている(1位はピサの斜塔)。

外観 photo by たいき〜

文・写真:たいき〜

建築情報

建築名高過庵
設計者藤森照信
竣工年2004年
住所長野県茅野市宮川389-1
利用時間11:00-18:00
HP茅野観光ナビ

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多治見市モザイクタイルミュージアム

なぜか、ふしぎな、うつくしさ。

多治見市笠原町は、施釉磁器モザイクタイルの発祥地にして全国一の生産量を誇る。そんな町にある多治見市モザイクタイルミュージアムは、タイルについての情報が何でも揃い、新たな可能性を生み出すミュージアムとして誕生した。

設計を手がけたのは、独創的な建築をつくる藤森照信氏。

外観 photo by たいき〜

タイルの原料である粘土を思わせる外観は、ノスタルジックな印象を与える。

中に入り階段を経て各所室に接続するが、階段の上に導くような光がお気に入り。

ざらざらした質感の壁面にあたり優しい光となっており、つい手でペタペタ触りながらゆっくり移動してしまう。

階段 photo by たいき〜

4Fにある常設展示室ではタイルの様々な用途を示している。

壁画、トイレ、そしてオブジェなどがあり、タイルにしか出せない色味や質感を用いた空間作りやプロダクトの創造力が刺激される。

展示室 photo by たいき〜

また、この常設展示室の開口はガラスなどが付けられておらず、そのまま外部に接している。

タイルに反射する柔らかい光と空気の良い風が通り、なんとも心地よい空間だ。

展示室の通気孔 photo by たいき〜

建築情報

建築名多治見市モザイクタイルミュージアム
設計者藤森照信
竣工年2016年
住所岐阜県多治見市笠原町2082-5
利用時間9:00-17:00(最終入館は18:30)
HPHP▶︎

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ラムネ温泉

大分県竹田市に、山の中にお伽話に出てくるような世界観のラムネ温泉はある。

1934年に、文豪・大佛次郎が世界屈指の炭酸泉「長湯温泉」を「これぞ、ラムネの湯だぜ」と世界に紹介し、2005年に建築家の藤森照信氏の設計によって、世界に誇る温泉「ラムネ温泉館」は開館した。

外観 photo by たいき〜

外観には焼き杉と漆喰が持ちられ、屋根には手で凹凸をつけた銅板が張られた茅葺き屋根というしつらえであり、黒と白のストライプ柄が印象的。

大浴場と家族風呂があり、それぞれ42℃の内湯と、銀色のしゅわしゅわとした泡が体を包む32℃の外湯(露天)、簡易的なシャワーがある。大浴場にはサウナルームも用意されている。

大浴場は洞窟のような空間であり、茶室の「にじり口」のような入り口を通り、唯一無二の空間体験ができる。

photo by たいき〜

建築情報

建築名ラムネ温泉
設計者藤森照信
竣工年2005年
住所大分県竹田市直入町長湯7676-2
利用時間10:00〜22:00
定休日:第1水曜日(※1月と5月は第2水曜日)
HPラムネ温泉

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