川越と言えば「時の鐘」や「蔵造りの町並み」で有名な小江戸川越一番街を思い浮かべる人が多いだろう。しかし近年、その中心地から一駅離れた「角栄商店街」という昭和の面影のこる脱力系商店街が注目され始めている。
本記事は5年程前からその角栄商店街の中心で怪しい取り組みを仕掛け続けている吉田尚平氏に商店街周辺を案内してもらった際のレポート記事である。
さあレッツゴー。
1.角栄商店街とは?(Googleマップで見る)
埼玉県 霞ヶ関に位置する商店街である。高度経済成長期に一斉開発され、 50年を経た今でも昭和の面影が残っている。
テナントが入っては抜けてを繰り返し、シャッター街になりそうでならない絶妙なオンド感を保ったまま、アーケード全体で新陳代謝をし続けている。
2.全ての発端「もとはし」(Googleマップで見る)
商店街の顔を飾るのは酒屋の「もとはし」。入り口横にある現役のタバコ窓口にノスタルジーを感じつつ中に入ると、店主の本橋さんとその奥様が笑顔で出迎えてくれた。案内人の吉田氏との会話に耳を傾けると、この角栄商店街の発起人がこの本橋さんだと言う。
何よりも先にこの酒屋もとはしが出来て、後に続く形でアーケードや他のお店が立ち上がったらしい。(※聞いた話をそのまま記事にしています)
もとはしなくして角栄商店街なし。
3.虫ガラポンのSMIS(Googleマップで見る)
SMISは世界のカブトムシやクワガタを販売する昆虫ショップである。図鑑でしか見たことのないような昆虫を多数揃えている。
そしてここには虫好きとは縁のない人間からすると不気味でしかない「虫ガラポン」の看板が出ている。ハズレなし、という言葉の真相はいかに。
4.素朴なランチ「そのままキッチン」(Googleマップで見る)
5.商店街のアジト「mibunka | みぶんか」(Googleマップで見る)
商店街の奥の方にあるmibunka|みぶんか。一見お洒落な古本屋のようにも見えるが、知れば知るほど謎が深まる異様な場所だ。
実はここは案内人である吉田尚平氏が自ら改装、運営している拠点である。古本もあれば新刊もあり、本棚の貸し出しも行っている。頼めばコーヒーも飲めるし、二階に上がるとコワーキングスペース?まである。時には音楽イベントが開催されたり、もはやこの場所を一言で表すのは不可能だ。
そして受付のスタッフに困りごとの相談すると、色んな手助けをしてもらえるらしい。庭の手入れや、買い物代行、通院の付き添いなど、高齢化の進んだこのエリアでは毎日依頼が絶えないのだとか。
6.【番外編】角栄商店街の七不思議
①インテリアハウス「窓」という名前の洋服屋。
②アルミホイルで覆われたマネキン
③消えては現れるアドバイスショップ
④アーケードの柱を堂々とハッキングした木柱
⑤小さい「ぁ」が気になる宝石屋
⑥全く異なるテイストの看板が近距離で2つある洋服屋
⑦お手伝いされる側の人達によるお手伝い集団
角栄商店街は長屋形式の間口の小さい店舗が横並びになって、同じアーケードを縦方向に共有することで商店街としての一体感がつくられている。しかし共有スペースにもベンチを出したり、暖簾をぶら下げたり、商品を陳列したり、個々が好き勝手に公共空間をカスタマイズすることで混沌とした街並みが形成されている。
制御しようのない現実を、無理に整理整頓しない脱力主義が、この場所が心地のいい温度感で維持し続けらている理由なのかもしれない。
角栄商店街で小さな複合施設【mibunka|みぶんか】を運営しながら、埼玉県川越市霞ケ関北地区を中心に場づくりをしています。
twitter:syohey_y
Instagram:ondo_38