
2024-12-01
長野県茅野市にある3つの「フジモリ茶室」のひとつである、茅野出身の建築家、藤森照信氏が設計した木の上の茶室「高過庵」。
地上6.5mに、2本の栗の木の上に建てられている。現地茅野市の山から伐り出した8mの栗の木を用いており、そのの上に茶室が建てられている。栗の木は虫に強く腐りにくい性質を持っており、木質も硬いため強度や耐水性が高い木材だ。
茶室の躙口(にじりぐち)は地上から6.5mにあり、ははしごを用いてそこまで登る。自らの手ではしごを登り、景色の変化を楽しむという、茶室までのアプローチも魅力的だ。
藤森氏によると、縄文人は寝る時に限り「高さ」を必要としていたという。これは蚊の媒介するマラリアを防ぐためだといい、鳥の巣のような高いところに寝たのだとか。人間が根源的に持っている野生本能としても、地上から離れた心地よい空間なのだ。
子供の頃につくった木の上の秘密基地のようなワクワク感もあり、見た目も少し怖いが面白い、見ておくべき建築だろう。
また、アメリカ「TIME誌」の「世界でもっとも危険な建物トップ10」にも選ばれている(1位はピサの斜塔)。
設計者
藤森照信
1946年長野県生まれの建築史家、建築家。日本近代建築史研究の第一人者であり、90年代に入って自ら建築設計を手がけるようになった。木、土、石などの自然素材と質感、触感を重視した建築作品は、「初めて見るのに懐かしい」という感覚を呼び起こさせる。