車を走らせていると、ごく稀に「道路の真ん中に生えている大木」に出会うことがある。土木工事にも負けず、そこに存在し続けるには何か理由があるはずだ。本記事では、日本中の建築を巡りながら、その旅路で発見した道路の真ん中の大木の情報を記録しているという木村才人さんに、オススメスポットを13箇所紹介してもらった。
1.千足杉(福井県丹生郡越前町寺)
この樹に偶然出会って、僕は道路の真ん中の大木の魅力に取り憑かれてしまった。緩やかなカーブを曲がるといきなり道の真ん中に現れた大木、思わずブレーキを踏んで路肩に車を停め、カメラを持ってシャッターを切った。早朝の澄んだ空気の中、その立ち姿には神々しささえ感じ、思わず鳥肌が立った。あとから調べて心霊スポットになっているということでこれにも鳥肌が立った。
2.帝国製麻琴似製線工場跡のアカマツ(北海道札幌市北区麻生町3-6-13)
明治期から昭和にかけて創業された製線工場の工場長宅跡地、今では閑静な住宅街になっている。そこにのこされたアカマツの木、雪国出身者としては除雪のとき邪魔そうだなと思う。
3.長崎公園 六角道(長崎県長崎市上西山町19)
初見でここを走ったとき、めちゃくちゃ怖かった。なぜなら地元ナンバーの車に煽られていたからだ。狭いところでは幅1.7m、樹木が次々現れるマ◯オカートのようなこの道を地元民と思われる車は青森ナンバーの僕の車をめちゃくちゃに煽ってきた。
4.楠木大神(大阪府大阪市中央区谷町7-1-25)
5.本山の一本杉(茨城県日立市宮田町3585-19)
道路拡張のために隣接する川を埋め立て、道路脇にあった杉が真ん中になった本山の一本杉。もともとは二本杉だったとか三本杉だったとか、例によってのオカルト話だとか…道路改修の度に土盛りされた結果、2m近く根本が嵩上げられたため、樹高が低くなっているとか、何かとかわいそうで尊い。
6.善光寺坂のムクノキ(東京都文京区小石川3-17-16)
正確に言うと現在は車道と歩道の真ん中の大木である。以前は車道の真ん中であったこともあるようだ。空襲によって炭化した部分があったりとなかなか難儀な人生(樹生?)を送ってきた。
7.東片端の大楠(愛知県名古屋市東区橦木町1-16)
非常に交通量の多い国道41号線、名古屋高速の入り口に立つ東片端の大楠。1960年代には伐採案や1985年には移植案などその存在が危ぶまれてきたがなんとか回避。
8.龍王大神のイチョウ(大阪府大阪市北区西天満4)
真ん中というか脇だけど、存在感がすごいので紹介。例によって祟話があったり、このイチョウに白蛇が住み着いていて、大火から街を守ったと云う逸話があったりして竜神として祀られている。
9.名護のひんぷんガジュマル(沖縄県名護市大東1-1)
国の天然記念物、名護市のシンボル。ひんぷんとは沖縄の伝統的な住居における門と母屋の間に建てられる目隠し塀の事で名護の入口を守る木として住民に親しまれている。
10.伊与久沼の弥八ヤナギ(群馬県伊勢崎市境伊与久)
正直、言ってこのヤナギを回避しても道路を通すことができたのでは?と思う周辺環境だったりするが、道路の真ん中の大木好きとしてはありがたい景色、そしてなかなかにいい樹形をしたヤナギである。
11.上の橋際のイチョウ(岩手県盛岡市内丸15-25)
盛岡市内の有名なフォトスポットになっているらしい上の橋際のイチョウ、おそらく相当きちんと手が入っている丸みを帯びた樹容が美しい。ぜひ紅葉の時期に訪れてほしい。
12.旧近衛邸大欅(東京都新宿区下落合2-17-9)
住宅街にあるため枝が短く剪定されてしまっているのが少し残念。都内における貴重な道路の真ん中の大木である。
13.あんぽんたんの木(北海道室蘭市知利別町4-5)
まずこの名前がいい!そして行政が通行の支障になるからと伐採計画を立てたのに対して、地域住民からの伐採反対のメールと電話26件で助かったというエピソードが最高。
木村 才人/ KIMURA Saito
林檎と建築とアート。愛と平和とロックンロール。
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