今年で竣工100周年を迎えたヨドコウ迎賓館は、近代建築の三大巨匠のひとりであるフランク・ロイド・ライトによって設計された日本に現存する唯一の住宅作品である。
日本有数の高級住宅街、兵庫県芦屋市街を一望する高台に位置しており、酒造家・山邑太左衛門の別邸として計画された。
ライトが設計した旧帝国ホテル(1923年竣工)の翌年に竣工したヨドコウ迎賓館、帝国ホテルにも見られたマホガニー木材や大谷石をふんだんに使用した装飾的なデザインが特徴的だ。
随所にシンメトリー(左右対称)なデザインを効果的に用いた厳格な空間性のなかにも、石材や左官の独特なテクスチャ感に温かさを感じる。
ライトは暖炉に対しての強いこだわりがあり、大谷石を使用した重厚な暖炉は応接空間のアクセントとして重要なエレメントとなっている。
風景を切り取る窓、光や風を取り入れる窓など開口部それぞれに役割をもたせ、巧みに室内と室外を繋ぎ、自然との調和を図っている。
施主の強い要望によって当初の計画にはなかった3室続きの和室が作られた。
銅板で制作された欄間や簾戸などいたるところにこだわりと工夫を感じる。
バルコニーにおける煙突や庇のデザインにもライト独特のプロポーション感覚が見て取れる。
高台の高低差のある敷地に建築されたヨドコウ迎賓館、建築史におけるマスターピース、落水荘(1936年竣工)に通じるスタイルを感じる見どころ満載の作品だ。
100周年を迎えた記念的なこのシーズンにぜひ訪れてもらいたい。
施設詳細
建築名 | ヨドコウ迎賓館 旧山邑家住宅 |
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設計者 | フランク・ロイド・ライト |
住所 | 兵庫県芦屋市山手町3-10 |
竣工年 | 1928年 |
利用時間 | 10:00-16:00(水土日祝のみ営業) |
見学料 | 500円 (高校生以下200円) |
駐車場 | 無料駐車場あり |
木村 才人/ KIMURA Saito
林檎と建築とアート。愛と平和とロックンロール。
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